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ORDINARY MUSIC on OTOTOY Music Store

SHEEPの2作目となるアルバム 「ORDINARY MUSIC」 はタイトルである 「ありふれた音楽」 とは真逆のサウンドとなっている。 Beatles、 10CC、 Pilot、 XTC、 WINGSといった黄金期のブリティッシュ・ロックを基調に日本語でありながらも全くのオリジナルサウンドへと昇華させた彼らの最新アルバム 「ORDINARY MUSIC」 は、 ひねくれているけどカッコイイ。 まさに他の追随を許さない21世紀のポップサウンドだ。 2013年にリリースされた彼らのデビューアルバム 「TOKYO SHEEPEST POP」 発売から2年の期間を経へ作りこまれた本作の出来栄えは、 前作に比べ同じ路線上にあるものの、 ロック色が強くなっており、 メンバーの堀尾、 田中の初の合作である 「OH!J-POP」 「華麗なミディアムワールド」 の存在からもわかるように、 より統一感のあるアルバムに仕上がっている。 ここで今回のアルバムを語る上でSHEEPの魅力を再分析してみたいと思う。 彼らのサウンドの魅力は3つある。 1つ目はポップでありながらも一筋縄ではいかないメロディーラインと楽曲の構成である。 メンバー(堀尾忠司、 田中久義)両名がそれぞれ作詞作曲を担当しているが、 ソフトな部分を田中が、 ハードな部分を堀尾が受け持っている。 ビートルズにおけるジョンとポールのように違う世界観でありながらも、 その化学反応で融合しており、 細部にわたり練られたコーラスワークや予想を良い意味で裏切る楽曲展開などが随所に散りばめられており、 まさにベテランという名に恥じない職人芸となっている。 2つ目は、 両メンバーのボーカルにある。 両名ともにハイトーンであるが、 日本人には珍しい中音域もしっかりと出ている木質なハイトーンなのである。 決して歌が上手いというものではないが、 引き込まれる暖かさが魅力である。 3つ目は、 プロのベーシストでもある堀尾忠司が奏でるベースギターを中心とした楽曲アレンジにある。 堀尾のベースは楽曲を演出する上で極めて大きな役割を果たしており、 他のバンドとの差別化要素となっている。 ベースがリードするアーティストで例を上げるならポール・マッカートニー、 イエス、 ラッシュの名前を挙げる事ができるが、 それに匹敵する効果を生み出している。 この

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EURO ROCK PRESS 2013 8月 vol.58 インタビュー

------ まずバンド結成までの経緯を教えてください。お二人の出会いは? どういうことでバンド結成を決めたのですか?

(田中)

私が以前所属していたBEAGLE HATのメンバーが堀尾先生の友人だったので、彼の存在は昔から知っていました。YouTubeなどでカヴァー曲を堀尾先生が一人で演奏しているのを聴くことができますが、その選曲が渋いんです。私の好きな曲ばかりでね。きっと気が合うだろうと思い、2年くらい前でしたか、私の方からSNSでフレンド申請して交流が始まりました。BEAGLE HAT解散後は紆余曲折ありましたが,新しいプロジェクトでレコーディングを本格化させたいとずっと考えていたので、昨年、堀尾先生に話を持ちかけたところ、背の高さが同じくらいだったこともあり(笑)意気投合し、SHEEPを結成することになりました。

(堀尾)

HISAと僕は別々にそれぞれの音楽を作っていましたが、お互いに似た音楽的バックグラウンドを持つ事は知っていました。知り合ったのはおそらくSNS上でだと思います。今回のアルバムは当初私はまだ関わっていない状態で制作は始まりましたが、HISAは、以前とは違うエッセンスを加えたかったのかと思いますが、同じような音楽的バックグラウンドを持ちながらも、自分とは違うスタイルの僕に声をかけてくれました。同じくらいの身長だと言う事もあったとは思います(笑)

------アルバムを聴くと、極上の'60年代~'70年代ポップの強い影響を感じます(BEATLES、ELO、QUEENなど)音楽的な影響を教えてください。

(田中)

確かに、この時代の音楽は大好きで、特にTHE BEATLES,10cc,PILOTは全てのアルバムを聴きました。それ以外にはYES等のプログレを聴いていた時期もありました。なので、これらの音楽の影響は大きいと思います。因に、最近はジャズをよく聴きますが、ヒップホップ、ラップは嫌いなので絶対聴きません。今回はTHE BEATLESのようなポップ・サウンドにプログレ要素を散りばめた音楽(勝手に”プログレッシブ・ポップ”と呼んでる)を目指していたので、そのように感じて頂いたことは狙い通りだったってことかな。極上の’60年代〜’70年代ポップに挑戦し、同じ土俵で勝負するのがSHEEPだ(笑)。

(堀尾)

ビートルズの存在は最も大きいですね。加えて僕の場合は70年代のポール・マッカートニー、10cc、PILOT、YES、キングクリムゾン、そして当時ヒットチャートの常連だったカーペンターズ、ギルバート・オサリバンやエルトン・ジョン、ポール・サイモン、バートバカラックなどと同時に、当時自分はビートルズ的なサウンドのバンドをやりたかったのですがメンバーがなかなか見つからず、それでもとにかく演奏していたかったので、いくつかの、ハードロック、ジャズ(っぽいもの)やラテン(っぽいもの)カントリーロック(的なもの)などのバンドで、まあまあ幅広くやっていたので、そう言う音楽からも影響されました。フュージョンブームの頃にはそんな風なインスト曲を作ったり、普段、好きで聴いていた音楽とはまた違うものばかり演奏していたのですが、そう言う事が意外に音楽的な要領の良さ(笑)に繋がったのかも知れないですね。

------アルバム制作のプロセスを教えてください。アレンジャーは堀尾さんのみがクレジットされていますが、曲のアレンジは、お二人がそれぞれ曲を持ち込んでから二人で決めていくのですか? 

それとも堀尾さんががすべてのアレンジに対する責任を負う形ですか? 演奏については、多重録音というかたちになりますが、

どのような形で曲にまとめていくのですか?

(堀尾)

僕とHISAは住んでいるところが決して近くないので、結局、主に録音作業をするのが僕の自宅なので、僕が色々やってしまう方が早いだろうと言う事で、結果、僕が最終的なアレンジの仕上げを受け持つ事になりました。もちろん、曲を作った人の意見、確認を聞きながらではありますが。

HISAの曲を制作する時は、HISAが作ったデモ(MIDIと歌による、方向性は充分感じ取れるレベル)をメールなどで送ってもらうのですが、基本的に「好きに料理してくれ」と言われています。デモを元に僕のDAW上で新たに作って行きます。好きにと言われてもやはりある程度はデモの時点でのアレンジを尊重しますが、他の道も考えてみる事にはしています。例えば「素敵な土曜日」は送られて来たときはピアノ中心でイントロもピアノから始まっていましたが結局はウクレレの曲になりました。

演奏、録音は、まず打ち込みのトラックをオーディオトラックに流し込み、1トラックずつ生の楽器に差し替えて行くやり方です。順番は決まっていませんが、大体ベースを録音してギターパートにかかります。その後コーラス関係かパーカッションなどの小物類をやります。

(田中)

自分の曲に関しては、ある程度のアレンジを加えたデモを最初に作り、それを基に堀尾先生がアレンジを仕上げる段取りでした。逆に、堀尾先生の楽曲はすでに完成されているのが大半だったので、私はアレンジの方向だけ少し意見を言ったぐらいです

------楽器についてですが、例えばギターやキーボードなど、どのパートを誰が演奏するというのはどういう形で決めていくのですか? 

ライターに主導権があるのですか? それとも二人で合議ですか? 

(田中)

堀尾先生は、ベース、ギター、パーカッション類、鍵盤類と多くの楽器に精通しているので、ほとんどの楽器を彼が演奏しました。だから私は楽でした。まるで蟻とキリギリスみたいだね。私自身は自分自身をプレーヤーというよりは、ソングライターであると思っています。なので、楽器は得意な人に任せたほうが良い結果になると思い、演奏には積極的に関わりませんでした。堀尾先生は私がどんな風にやってほしいか、何も言わなくてもわかっているんです。そこが堀尾先生の凄いところです。ライターの主導権ですが、それは曲によって違いがあると思いますが、自分の曲が自分の全く意図していない感じで纏まっていたとしたら、それはそれで面白いと思います。ライターの意見は尊重しますが、堀尾先生とお互い「あーだこーだ」意見を言い合いながら進めました。面白い作品が出来たと思います。

(堀尾)

基本的にはライターに権限があると思っていますが、今回はHISAからの「ここは弾かせてくれ」との注文がなかったので、僕がほとんどのパートを担当しました。自分がアレンジに関わったものは全て自分で演奏したくなるので、それをやらせてもらえて良かったです(笑)

------バンドとして、ライヴやギグを行う予定はありますか? 

その場合、ツアー・バンドを組むことになりますか?

(堀尾)

今のところ具体的なライブの予定はありませんが、是非やりたいと思っています。メンバーもなんとなく目星は付けています。もちろん、その人たちに頼んでも断られるかも知れませんが(笑)・・そのバンドでリハーサルやって音を固めてツアー出来たら素晴らしいだろうなあ、と思います。

(田中)

武道館ライブができたらいいねえ。ウチの近所の公園にある剣道場も武道館っていうんだ。そこでもいいかな。でも、やるからには完成度の高い演奏をしたいですね。SHEEPの音楽はコーラスとか複雑に絡んでくるので、再現するのは難しいだろうが、実現出来たら楽しいだろうね。

 

------ゲストとしてDavid Paton(PILOT)が1曲加わっていますが、彼の参加はどのようにして決まりましたか?

(田中)

デヴィッドは、BEAGLE HATに参加してもらった経緯から、今でも親交があり仲の良い友人です。自分が作った曲や彼の作った曲をお互いに聴かせて、お互い褒め合ったりしてます(笑)。デヴィッドのアルバム「Under The Sun」には、私とデヴィッドの共作である"All For You"が収録されているし、彼がゲストとして参加する事は自然な成り行きなんです。実は、他にも歌ってもらった曲があるけど、これは次回作に取っておこうと思っています。

(堀尾)

HISAが以前やっていたビーグルハットのアルバムでDavid Patonがリードボーカルを歌っていましたが、それ以来HISAとDavidの交友が続いていて、彼らは普段からお互いの曲を聴かせあっているようです。今回のゲスト参加もごく自然な流れですね。僕自身も10代の頃からPILOTのファンなので、Davidの歌が僕の演奏やコーラスの上に乗っかってる事実が未だに信じられません(笑)

(未掲載インタビュー)------このアルバムで使用した楽器を教えてください。

(堀尾)

全部では無いですが・・

E.Guitar….リッケンバッカー330、ギブソン・レスポールスペシャル、エピフォン・カジノ

A.Guitar…Tayler312ce

E.Bass…リッケンバッカー4001C64、WAL5strings、Hofner500/1

Percussions…タンバリン(yamayo)、シェーカー(大、メーカー不明)タマゴシェーカー(pickboy)、カバサ(RhythmTech)、カリンバ(メーカー不明)、ボンゴ(CP)、トライアングル(メーカー不明)その他

ウクレレ…MAHALO

Keybored類は全てプラグインで打ち込んでいますが、手弾きの部分もちょくちょくあります。

全音ピアニー(鍵盤ハーモニカ)